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 今季からUCIトラックW杯、世界選手権への参加システムが変更に。主な変更点と参加資格獲得までの流れを紹介 W杯編

これまで何度もお伝えしてきましたが、今季からトラック競技のW杯と世界選手権への参加システムが変更となり、日本人選手たちも現在、まずはW杯の参加資格をクリアするために奮闘しています。
この参加システム変更についてはJCFからも発表されていますが、主な変更点と参加資格獲得までの流れをまとめてみました。
まずはトラックW杯編です。


★トラックW杯参加資格獲得までの流れ
まず、W杯参加権を得るために規定以上のUCIポイントを獲得することが必要となりました。JCFのHPで発表されたチャートを参考にしながらご覧いただけると、分かりやすいかと思います。


※JCFサイトより。W杯参加資格取得チャート


1. 対象となるUCIポイント取得期間は、シーズン開始よりW杯第1戦大会の2ヶ月前まで
※今季の場合は変則的となり、2012年9月〜2013年9月10日までとなっています。


2. 対象となるUCIポイントは大陸選手権(日本の場合はアジア選手権)、クラス1、2、3の大会、ナショナル選手権(日本の場合は全日本トラック)で付与された個人ポイントの総計


さらに種目によって、この個人ポイントのカウント方法が違います。
♦スプリント、ケイリン→上記大会のうち上位5大会のポイント総計をカウント
♦その他の個人種目(オムニアム、1km/500mTT、ポイントレース、スクラッチ、個人追抜き)→上記大会のうち上位3大会のポイント総計をカウント
♦団体種目(チームスプリント、団体追抜き、マディソン)→UCIポイントの条件などはつけず、各国・各チームから1チームが参加可能。ただし、マディソンはUCIランキング18位までとする。


3. W杯参加に必要な種目別のUCIポイント数

♦スプリント、ケイリン、オムニアム→90P以上
♦ポイントレース、スクラッチ、個人追抜き、1km/500mTT→30P以上


※チームスプリント、団体追抜き、マディソンはUCIポイントの条件はなし。


4. W杯参加資格が確定する種目別UCIランキング
個人種目は規定のUCIポイントを獲得し、さらにそのポイントによるUCIランクの順位により、最終的なW杯への参加資格が確定します。マディソンはランキングのみが対象となります。
※下記以外の個人種目はUCIポイント30P以上をクリアすれば、ランキングの条件はなし。


♦種目別ランキング(男女とも同じ)
スプリント 45位以内
ケイリン  36位以内
オムニアム 24位以内
マディソン 18位以内


つまり、上記の個人種目(スプリント、ケイリン、オムニアム)は90P 以上のUCIポイントを獲得したうえ、定められたランキング以内に入ることで、初めてその種目でのW杯出場が決まるわけです。例えばスプリントなら90P以上UCIポイントを獲得し、ランキング45位までに入る必要があります。そして、これはあくまでこの条件をクリアした本人にのみ参加資格が与えられます。


また、W杯では国・チームごとの最大参加人数が以下の通りとなっています。
♦国・チームごとの最大参加人数
スプリント    2人
ケイリン     1人
オムニアム    1人
1km/500mTT    1人
ポイントレース  1人
クラッチ    1人
個人追抜き    1人
チームスプリント 1チーム
団体追抜き    1チーム
マディソン    1チーム


※男子・女子スプリントが従来までの3人から2人へ、女子ケイリンが2人から1人に変更


♦詳細はUCI競技規則(JCF翻訳版)で確認できます。W杯についての記載は以下の中にあります。
http://jcf.or.jp/wp2012/wp-content/uploads/downloads/2013/04/03_Track_Race.pdf


以上が、大まかなトラックW杯の参加資格変更のポイントになるかと思います。
このシステム変更の流れを受け、90P以上という多くのUCIポイントを必要するスプリント、ケイリン、オムニアムに関して、各国とも条件をクリアするため、この3種目に重点を置いた国際大会の開催が今季はかなり目立ちます。反面このあおりを受け、無条件で出場がほぼ確定しているチームスプリントや団体追抜きは、ポイントを獲る必要がないため、大会に種目自体はあってもエントリーしない状況が続出(先日、日本チームが出場した中国の国際大会でもそうでした)。
元々、UCIとしてはトラック競技の振興や、国際大会の増加と活性化を狙って行われたシステム変更ではないかと思われますが、今のままだとちょっと偏った形が生まれてしまう恐れも感じずにはいられません…。


さて、トラック競技のシステム変更について、次回はトラック世界選手権編です。