CYCLIST FAN

トラックレース&競輪を中心とした自転車競技情報ブログ

 中長距離種目の楽しみ方

トラック世界選手権も明日に迫りましたね!
昨日もお伝えしたように今回はSPEEDチャンネルでのライブ中継もありますし、またインターネットなどで観戦される方もいらっしゃるでしょう。
しかし、まだあまりトラック競技には詳しくないという方もおられるのでは?
そこで、世界選でのレース観戦のポイントを簡単にご紹介しようと思います。


短距離種目はとにかく先にゴールした選手が勝ちなので(タイムトライアル競技はもちろんタイムで順位が決まりますが)、それほど複雑ではないのですが、
中長距離種目は単にゴール順だけでなく、獲得したポイントや、周回遅れにした・されたなどで、順位が変わってきます。
そのためルールがよく分からないとイマイチ理解にしくい部分もあり、また大人数で走るので、うっかり見逃すと今だれが先頭なのかも分からなくなってしまいます。
今回はそんな「ぼんやり観戦することが許されない」(笑)、中長距離種目の観戦法です。



●ポイントレース

男子決勝は160周40km。女子決勝は100周25kmで行われます。
ちなみにワールドカップでは男子決勝は30kmでした。


ポイントレースはポイント周回毎に1位通過5点、2位通過3点、3位通過2点、4位通過1点が与えられ、多くポイントを取った選手が勝ちとなる競技です。
ポイント周回は10周回毎になります。
またポイント周回だけではなく、集団から抜け出してアタックをし、集団(人数が多く集まっているところ)に追い付くと20ポイント獲得できます。
言い替えると、集団に追い付く=集団を周回遅れにするということ。
集団を周回遅れにすればLapup(ラップアップ)となり20 ポイント獲得、逆に周回遅れにされるとLapdown(ラップダウン)となり-20ポイントとなるわけです。


さて、このポイントレースを観戦する上での注意点は、周回中状況に応じてその都度先頭が変わるところ。
うっかり見逃すと、今現在どこが先頭なのか分からなくなります。
どんな場面で先頭が変わるのかというと、集団から抜け出した選手が、集団に追い付くと、それまで「追い付いた選手」が先頭でしたが、
追い付いたと審判が認定した瞬間に、「集団に追い付いていない選手(団)の一番前を走っている選手」が先頭になります。
周回中、ホーム側に立っている審判が走っている選手に指を差しますが、それが先頭を示す合図で、その指の先にいる選手が先頭ということになります。
言葉ではちょっと分かり辛いかも知れませんが、実際にレースを観る時に、審判の手の動きに注意してみて下さい。


以上の事を理解していただいた上でポイントレースの見どころに移りましょう。


ポイントレースの見どころは、やはりまず10周ごとに行なわれるポイント周回で、ポイントを取る時のゴールスプリントが挙げられます。
いかにポイントを獲得するか、また駆け引きしながら相手よりも先着するスピード感でしょう。しかし、それだけではありません。
このポイント周回直後を見逃してはいけません。
このポイント周回を過ぎてから、そのままスピードを落とさずに(上げて)、集団に追い付こうとする選手がいます。
「アタック」(集団から一気に抜け出す)を仕掛け、20ポイント獲得を狙いに行くわけですが、単独で行く場合と、4〜5人などある程度の人数で行く場合があります。
一人で行く場合は、風の抵抗を一身に受けなくてはならないので、成功の確率が低くなりますが、これが成功するようなら強い選手ということです。
数人で飛び出す場合は成功の確率が高くなります。先頭交代をするため、空気の抵抗を分担でき、高いスピードを維持できるからです。
中にはこの先頭交代に加わらない選手もいます。これは、力を温存して勝ちたい選手です。


そして、アタックを仕掛けた選手と集団の動きに注目して下さい。
集団からさらに飛び出しアタックを仕掛ける選手、それに追随する選手、集団にとどまる選手が出て来ます。
集団がスピードを上げ、先頭を行く選手を飲み込み周回遅れになる事を阻止するのか、それとも力尽きて周回遅れになるのか。
この攻防が非常に面白いところです。


2008世界選手権のポイントレースには、日本からは飯島誠選手が出場します。
この世界選の成績いかんでオリンピック出場が決まります。
決勝に進出し(3月25日現在の世界選のプログラムを見る限り、参加人数が多くないのか、予選は行われない可能性あり)、最低8位に入れば可能性が残ります。
皆さん、飯島選手を応援して下さい!



●マディソン

2人ペアとなって、交代しながら、ポイント周回の時にポイントを獲得していく競技です。
距離は50km。20周ごとにポイント周回となります。
ルールはポイントレースに近いのですが(ポイントの与え方など)、マディソンでは交代をし、休んでいる選手はステアライン(バンク中央に引かれている線)より上にいなくてはなりません。
また、交代の時は、必ず交代する選手に触れて交代する必要があるのですが、ほとんどの選手は手を繋ぎ、交代する選手を押し出し、スピードを与えるような形で行っています。
また集団に追い付くと、追い付かれた選手に−1周(1Lapdown)という表示がされ、−1周のままだといくらポイントを取っていたとしても、勝てません。
集団に追い付いた選手の中でのポイント争いとなり、そこで順位が決まります。


見どころは、まず交代の美しさ、力強さ、そしてスピードです。世界選手権のマディソンは信じられなぐらいのスピードで疾走します。
このマディソンには、日本から飯島誠選手、盛一大選手が出場します。
この競技もオリンピック出場が掛かっており、世界選手権で決勝8位以上に入らないと出場が難しいでしょう。



●スクラッチ

15kmで争われ、基本的にゴールを1着で駆け抜けた選手が優勝ですが、集団を1周以上追い抜くと、数多く抜いた選手の中から着順がついていきます。
例えば、1周抜いた選手が5人いたとします。ゴールは周回遅れの選手が一番先でした。しかし優勝は1周抜いた5人の中で、着順が一番上の選手です。
集団に追い付いた選手のユニホームを覚えておいて、最後のゴールではどのような着順になったかしっかり確認しましょう。
クラッチには日本から盛一大選手が出場します。
オリンピック種目ではありませんが、昨年の大会ではワンカンポー選手が優勝するなど、アジア選手にも勝てる可能性が十分ある種目なので、盛選手の活躍を期待しましょう。