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トラックレース&競輪を中心とした自転車競技情報ブログ

 ロンドンオリンピック代表候補選手の記者会見でのコメント、個別インタビューをアップ!

少々遅くなってしまいましたが、先日行われたロンドンオリンピック代表候補選手記者会見での選手コメントや、質疑応答、個別インタビューの内容などご紹介します!


ロンドンオリンピック自転車競技ナショナルチーム松本整総監督から選手選考についての説明

「総監督の松本です。新体制が発足して以来、スーパースターを作る。自転車競技を含め自転車界全体の振興と発展のためにはスーパースターが必要だということでそれを目指してロンドンオリンピックまで頑張ってきました。今回なんとしてもスーパースターになるためにはメダルを獲っていただきたい。そのためにはこのメンバーが最も有力であると、そういうところで選考いたしました。これからここに並んだ皆さんがすばらしい活躍をして、日本にメダルを持って帰ってスーパースターになってくれることを期待しています」


ロンドンパラリンピック自転車競技・高橋仁監督から選手選考についての説明

「パラサイクリングチームの監督をさせていただいています、高橋仁です。パラサイクリングのほうは2010年から2012年の2月までのUCI主管レースでのポイントによって代表が3枠決定しました。ポイントのランキング別で一番点数を獲ったのが藤田選手228ポイント、大城選手が132ポイント、石井選手が100ポイントということで、上位3名の選手を選出させていただきました。パラサイクリングのほうは種目がトラック、ロードと両方ありまして、タンデムに関しましてはトラックのみなんですけれども、藤田選手、石井選手のほうはロード競技にも参加しますので、たくさんの種目でたくさんの入賞、たくさんのポイントを獲っていただくように頑張ってもらいたいと思います」


★代表候補選手の挨拶
◎トラック種目
中川誠一郎(JPCA・JPCU 熊本)

中川誠一郎です。今回オリンピックに選ばれて、まだ実感が湧かないんですけど、とても嬉しいです。オリンピックまで3ヶ月ですけど、しっかり最高の準備をして臨みたいと思います。皆さん、応援してください」


渡邉一成(JPCA・JPCU 福島)

「競輪選手会福島支部の渡邉一成です。ロンドンオリンピックでは金メダルを目指して頑張ります。応援してください」


新田祐大(JPCA・JPCU 福島)

「競輪選手会福島支部新田祐大です。今回オリンピック代表選手として選ばれたことを誇りに思い、たくさんの方々の応援、支えがあって今があると思いますので、しっかり金メダルを獲れるように練習をし、その成果をロンドンオリンピックで発揮できるように頑張っていきたいと思います。応援よろしくお願いいたします」


前田佳代乃(鹿児島・鹿屋体育大学

鹿屋体育大学4年生の前田佳代乃です。今回がオリンピック初挑戦になります。思い切ってぶつかってきたいと思います。応援よろしくお願いします」


◎ロード種目
新城幸也(JPCA・チームヨーロッパカー)

「チームヨーロッパカーの新城幸也です。僕も初めてのオリンピックになります。今まで支えてくれた皆さん、協力してくれた皆さん、応援してくれるファンの皆さんのためにしっかりオリンピックを走ってきたいと思います。よろしくお願いします」


◎パラサイクリング
石井雅史(神奈川・藤沢市みらい創造財団)

「パラサイクリングの石井雅史です。北京オリンピックからの4年間、負傷とかいろいろあったんですけれども、いろいろな方々の支援と応援によってまたこの場に立つことができました。ロンドンでは精一杯メダルを獲れるよう頑張ってきたいと思いますので、応援よろしくお願いします」


藤田征樹(茨城・日立建機

「パラサイクリングの藤田です。まず障害者スポーツにおいてこのようにオリンピック選手と一緒に記者会見を開いていただけるということは非常に特別なことであります。これまでご尽力いただいたパラサイクリングの関係者の皆さんと、支援者の皆さんに御礼申し上げます。4年前からまたロンドンの表彰台に上るために頑張ってきました。しっかりと力を発揮できるように頑張りたいと思います。よろしくお願いします」


大城竜之(東京・東京都立文京盲学校)

「パラサイクリングの大城竜之と申します。今回私は(オリンピック)3度目のチャンスをいただきました。これまでいろいろな経験をしてきましたけれども、今回代表に漏れた選手の分まで力いっぱい精一杯メダルを目指して頑張ってきたいと思います。このようなオリンピック、パラリンピック代表選手が合同の記者会見を開いていただけたということは非常にパラサイクリングのほうにもいい影響を与えていただけたと思っています。本当にありがとうございます。頑張ります」


伊藤保文(JPCA・JPCU 京都)

「競輪選手会京都支部の伊藤保文です。先ほど大城選手が言ったように全力を出してくれると思うので、サポートをしつつ、自分自身も一生懸命頑張って2人の息をびしっと合わせて全力で頑張りたいと思います。応援よろしくお願いします」


★質疑応答
Qトラック男子について。世界選手権のメンバーだった雨谷一樹選手が代表候補から外れた理由は?
中野強化委員長「昨年、新体制のナショナルチームになった時点から、どの種目が一番オリンピックでメダルに近いかということを考えながら選手の派遣を行い、そして選手の強化を行って参りました。いろいろな考え方があると思いますけれど、メダルに一番近い種目というのははっきり言ってケイリンだと僕らは考えておりました。そのケイリンの強化、そしてその過程の中で選手の脚力強化というのも図って参りました。最終的に記録(タイム)は全員の選手が伸びたんですね。ですから選考の段階では雨谷くんも当然僕らの頭の中には入っていましたけれども、最終的に雨谷くんを選考してしまうと、チームスプリント以外の個人種目(スプリントとケイリン)に、自動的に誰が出場するか決まってしまう。個人種目は誰がでるかというのはまだ決めておりませんし、これは大会の直前になって一番その種目に向いている選手、そして力を発揮できる選手を選ぼうと思っています。チームの中でやはり競争というのがないといけないと思いますので、本来ならばぎりぎりまで4人で競い合ってもらって、直前にメンバーを決めたいというのが本音ですが、現在のJOCの方針ではそれができないということなので。彼(雨谷選手)に力がなかったというわけではありませんし、選ぶ側としては誰を選んでもおかしくないというメンバーだったと思っています」


Q渡邉選手と新田選手に。金メダルの可能性はどの種目が一番高いのか?
渡邉「メダルを獲得できる最有力の種目はケイリンだと思っているので、ケイリンで金メダルを目指したいと思います」
新田「さきほど中野さんからご説明があったように、まだ個人の種目が決まっていないということで、自分が何の種目にでるか分かっていないのですが、出られる種目全部で金メダルを獲っていきたいと思っています」


Q前田選手に。具体的な目標と、これからオリンピックまでにレベルアップしたいことは?
前田「種目はスプリントになると思いますが、まず予選のタイムトライアルで今の状態だと通過できるかできないかというすごく下のほうになってしまうので、タイムトライアルのタイムを上げていきたいというのが目標です。この先オリンピックが終わるまで、鹿児島には戻らない覚悟で今日は出てきました。合宿と厳しい練習を積み重ねて最高の走りができるように努力していきたいと思います」


Q渡邉選手と新田選手に。福島出身として被災地に元気を届けたいなどの思いは?
渡邉「もちろんそういう思いはあります。僕は福島県双葉町出身で、(震災以降)僕自身まだ一度も実家のほうに戻っていないんですが、たくさんの応援してくれている方々がいるのでそういう人たちの思いもこめて、ロンドンではメダルを目指して走りたいと思っています」
新田「僕も同じく福島出身ということで、被災者の方々に笑顔を届けられるような、金メダルを持ち帰れるレースがしたいというのと、やっぱり僕自身福島でずっと練習をしていた中で、本当に難しい問題がいろいろあったんですが、その中で頑張っている姿というのを世界に実証できるように、ロンドンオリンピックではしっかり走って行きたいなと思っています」


Q一人の選手がスプリントとケイリンの2種目に出ることもあるのか。世界と比べて現在足りない部分は?
松本総監督「一人が何種目も走る可能性については、基本的には考えていないんですが、非常に力の差がはっきりとすればそういうこともあり得ると思います。世界との差ということですが、たとえばスプリントでは予選のタイムトライアルでトップの選手と日本選手のタイム差はこれまでかなりあったんですが、それが今は非常に近くて0.1秒ちょっと。一般にスプリントでは0.2秒開くと勝つのが難しいといわれていますが、勝つことのできる範疇に今この3選手は入ってきていると思います。ということはケイリンでも十分世界チャンピオンを狙える力に近づきつつあると。この3選手の中で競い合ってもらえれば、日本にメダルを持ち帰ることが個人種目で可能であるというふうに考えています」


Qロードの選考会(全日本選手権)で勝った選手がなぜ選ばれないのか?
中野強化委員長「あらかじめロードのほうはJCFポイントの上位から選ぶということをJCFで決めておりまして、その中で今回は決定したということです。ですから常に海外でキツイ、いいメンバーで走っている選手のほうが、完走すればそれだけポイントを稼げるという状況にもなっていますので、自然と現状では別府くん、新城くんという2人の選手が選ばれたと。国内のレースに関しては今後連盟としても、日本選手権という大きなレースに対しての考え方や、日本チャンピオンは派遣するほうがいいのかどうかなども検討することになっております」


Q新城選手に。どういう走りを目指して行くか。
新城「昨年、プレオリンピックに出場させていただいて、コースもすでに試走ずみなんですけど、距離は全然違うとはいえ、コースを見るだけであればすごく僕に有利なというか、好きなコースです。あとは展開ですが、世界選手権だと各国多いところで9名参加するんですけど、オリンピックは6名がマックス。(世界選などに比べると)レースを作るチームの力が劣るということで、人数の少ない国もチャンスが増えてきますので、もしかしたらじゃなくて、かなりの確率でメダルも視野に入れて走って行きます」


Q大城選手は前回前々回のオリンピックでは残念ながらメダルまであと一歩というところだったが、北京以降どんなところを強化してきたのか。石井、藤田選手は過去メダルを獲っているが、さらに強化した部分は?
大城「過去2回、メダルは逃してきましたけれど、やはり目標としてはどうしてもメダルを獲りたいということで、北京以降、新しくパイロットとして伊藤さんとペアを組みました。やはりタンデムの場合は2人の息が合わないとなかなかスピードが出せませんので、練習ではコミュニケーションをしっかり取って。特に1kmに照準を合わせて練習をしてきまして、その中でもスタートダッシュでいかに早くトップスピードに持っていけるかの練習、そして後半をいかに耐えるか。いつも残り1周で急にスピードダウンしてしまいますので、その克服のために持久力アップということで普段より長めのトレーニングを、あとは伊藤さんはかなり重いギアを踏んでいますので、私もそれに合わせられるように高負荷のトレーニングをやってきました。このあと2人での練習回数は強化合宿も含めて月1回以上はあるかと思いますので、そこのところで2人の息がしっかり合うようにコンディションを整えて行きたいと思っています」
石井「北京では1kmで金メダルを獲ったんですけど、やはりこの種目を主体としていきたいと思っています。2009年の負傷からだいぶ引きずってしまったんですけど、今の状態は1kmのスタートがあまりよくないので、そこをもともと以上に上げていくように練習しているところです。あと後半のほうも少し苦手だったので、そこを落ちないように持久力を高めて行く練習をしています」
藤田「トラック競技に主眼をおいてやっていきたいと思っているんですけど、ワールドカップや世界選手権を転戦して、もう一段スピードアップが必要かなと思っています。そのあたりをしっかり意識して頑張っていきたいと思っています」


Qロード女子、MTB、BMXはまだ出場権が確定していないが、現状は?
中野強化委員長「女子のロードに関してはなんとか可能性があるんじゃないかというくらいの状況です。それからMTBは1枠はほぼ確定していて、もう1枠もうまくすれば獲れるのではないかなという情報も入っています。BMXに関しはちょっと難しいかなという話なんですけれども、5月の世界選手権が終わらないと確定しないということですので、それ以降の発表になると思います」


★個別インタビュー
松本総監督
Qトラック男子の選考ですが、雨谷選手が代表から外れることになりましたが。
松本総監督「昨年7月のナショナルチーム選考会で僕が皆さんの前でご挨拶したときに、この短期間でロンドンオリンピックを目指すためには競争原理を取り入れるしかない、というお話をさせてもらったと思うんですけど、それが(今季)皆が底上げできた理由のひとつだと思うんです。それをロンドンまでの3ヶ月間もして行くしかないと。中野委員長がご説明されたとおり、今日現在の力ですぐにメダルを獲れるというところではまだないと思うんですね。しかし、それをして行くことでメダルを獲る能力まで上がれると考えて、ケイリンが今一番メダルに近いボジションにあるのであれば、こういう結果にならざるを得ないというところです」


Qチームスプリントでのメダルを狙うことはやはり厳しい?
松本総監督「はっきり言って現実的には今の段階でメダルを獲れるかどうかの可能性はケイリンよりは低いと。もちろん全力ではやっていきますけど、そういうふうに感じています」


Qこのメンバーなら仮に何かアクシデントがあっても、どの選手でもケイリンでメダルが狙えると?
「そうですね。何があってもチャンスがある、またその能力がある3人だと思います。当初からそういう考えもあって、W杯のケイリンに出る回数も同じように割り振りしてきましたし。練習方法もそれを中心に組み立ててやってきていましたけど、その中でスプリントも含め、他の種目にもいい影響を与えたということはこの数ヶ月間を見ていただければ分かると思います。ここからより絞って、そこを目指してやっていくということでさらにチャンスを広げたいと思います」


Qケイリンだけでなく、スプリントも十分メダルに近いのでは?
「いや、近いですよ。ケイリンは強くても勝てるとは限らないんですが、スプリントは展開の左右がないぶん近いかもしれないです。脚力的にも全員がだいぶ向上していますし、これ以降は日本の競輪競走は走らず、合宿など生活環境も整えてやっていけるので、さらなる上積みや体調のコントロールもよりしやすくなるんじゃないですかね」


中野強化委員長
Q今回のトラック男子の選考について改めて聞かせてください。
中野強化委員長「昨年からチーム内で皆が競い合いながら、どんどん伸びてきたというのがある。実際に全体で脚力のレベルも上がっているわけでしょう。その要因の一つは選手間の競争だったと思うし、ロンドンまでの期間もさらにレベルを上げるためには競争という部分は残しておきたいと。そうなると3人で競争しながらいけるようなメンバー構成にするしかないとなった。実力的には4人はそれほど大差があるわけじゃないので、そうなると種目的に競争に加われない選手を落とすしかないと。やっぱりチームスプリントの1走しかできないのは不利だったなということになってしまうんだけど」


Q世界選手権ではチームスプリントで日本新記録の43秒台を出しましたが。
中野強化委員長「それはあくまで一人で出したタイムじゃないし、メダルを獲るためには43秒台前半が必要。それにはあと何秒詰めなきゃいけないのかと。冷静に考えて、タイムレースは簡単にタイムアップをはかることは難しい。ケイリンは前回の北京で予選で負けて敗者復活で上がってきた永井清史がメダルを獲ったように、そういう要素があるので、みんなにチャンスがあると。世界選手権と比べても人数が少なくなるので、そういう意味でもオリンピックのほうがよりチャンスがある。もともとケイリンがメダルに一番近いと思ってやってきた部分があるので、ケイリンをメインに考えて、尚かつ複数で競争しながらオリンピックまで気持ちを持続させることが結果に繋がるんじゃないかというのが大きい」


Qスプリントでもメダルを狙えそうですが。
中野強化委員長「スプリントもベスト8は堅いでしょうね。問題はベスト4まで行って、そこから。タイム的には10秒そこそこで走るようになったので、十分戦えると思う。(現地では)私は外から観ていますけど、なにか気づいたらアドバイスします、専門家なんで(笑)」