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トラックレース&競輪を中心とした自転車競技情報ブログ

 リオオリンピック自転車競技トラック最終日は男子ケイリンでジェイソン・ケニーが優勝し、今大会3冠達成! 日本期待の渡邉一成と脇本雄太は1回戦敗退に終わる。女子スプリントはクリスティーナ・フォーゲルが優勝、女子オムニアムはローラ・トロットが2大会連続の金メダル、塚越さくらは16位

現地時間8月16日(火)に行われた自転車競技トラック6日目。トラック種目の最終日となります。


この日は男子ケイリン1回戦〜決勝、女子スプリント1/4決勝〜決勝、女子オムニアム後半3種目(500mタイムトライアル、フライングラップ、ポイントレース)が行われました。
日本からは前日に引き続き女子オムニアムに塚越さくら選手、そして男子ケイリンに渡邉一成選手と脇本雄太選手が出場しました。


男子ケイリンは渡邉選手、脇本選手ともに1回戦敗退という残念な結果になってしまいました。渡邉選手は北京から3大会連続のオリンピック出場で、本当にこれが「集大成」という気持ちで臨んでいたと思うのですが、思うようなレースにはならなかったようです。脇本選手は初めてのオリンピックで、かなり緊張していたようですが、やはりいつもの脇本選手らしい走りはさせてもらえずにレースを終えました。
映像を観ていてつくづく感じましたが、ほかの選手たちの仕上がり具合は普段のW杯や世界選手権をはるかに超えるほど凄まじく、オリンピックという舞台の持つエネルギーの凄さをまざまざと見せつけられた気がします。もちろん渡邉選手や脇本選手もできうる限りの調整をしてリオに臨んでいるので、世界がもっともっと上だったということだと思います。


女子スプリントは、今大会男女問わず驚異的な活躍のイギリス勢に一矢報いたフォーゲルが優勝を飾りました。フォーゲルはロンドンオリンピックのチームスプリントで金メダルを獲っていますが、個人種目ではこれが初めてとなります。
ちなみにこのフォーゲルと、3位のケイティ・マーシャント(イギリス)は、なんと10月から日本のガールズケイリンに参戦します! さらに今回は悔しい思いを味わったリー・ワイジー(ホンコンチャイナ)と、モクニ・サリバン(カナダ)も来日。なんとも贅沢な顔ぶれです!


女子オムニアムは、とにかくトロットが強かった! タイム系種目は全てにおいてかなりタイムを上げてきていましたし、ゲーム系種目も全く危なげありませんでした。ロンドンの銀メダリスト、ハマーも相当仕上げてきた印象でしたが、またまたトロットに阻まれ、悲願の金メダルはならず。
初めてのオリンピックとなった塚越選手は、この大舞台の雰囲気にかなり飲まれてしまったようですが、それでも最も得意とする500mタイムトライアルはこの顔ぶれの中で6位。これからさらに武器である短距離種目に磨きをかけ、苦手なレース系を強化していけば、もっと世界と戦えるはず。頑張ってほしいですね。


では、トラック最終日の結果です。


★男子ケイリン(1回戦〜決勝)
27名が出場。日本からは渡邉一成選手と脇本雄太選手がエントリー。


2着までが勝ち上がり権利の1回戦。第2ヒートの渡邉選手は周回6番手から。ペーサー退避で仕掛けていったデニス・ドミトリエフ(ロシア)、ダミアン・ジリンスキー(ポーランド)が先手を取ると、エドワード・ドーキンスニュージーランド)、マシュー・グレッツァー(オーストラリア)も上がり、前方は横に広がっての並走状態に。グレッツァーの後位から上がって行こうとした渡邉選手ですが、阻まれる形で最後まで前に上がれず5着。
第4ヒートの脇本選手は最後尾の7番手で周回。残り2周で先頭に上がったジェイソン・ケニー(イギリス)が一気にスパートすると、スピードが上がって隊列は一列棒状に。ここで最後尾での追走となってしまった脇本選手は挽回できず6着。渡邉選手、脇本選手ともに敗者復活戦に望みを託すことになります。


1着のみが勝ち上がりの敗者復活戦。第2ヒートの渡邉選手は周回4番手から、ペーサー退避で上昇するイム・チェビン(韓国)に乗って前に上がると、残り2周で先頭に立ったイムの番手という絶好の位置に入ります。しかしバックから一気に捲ってきたクリストフ・マクセル(ポーランド)が先頭に上がり、渡邉選手は3番手で残り1周へ。ここから必死に前を交わしにかかる渡邉選手でしたが、最後は力つきて4着。
第3ヒートの脇本選手は4番手で周回。最後方から残り1周のホームで一気に前に上がった脇本選手は、先頭を走るドーキンスを交わしにいきますが、2番手につけていたフランソワ・ペルビス(フランス)がこの動きに合わせるように発進。脇本選手とペルビスが並走のまま最後の直線に入り、ゴール勝負はペルビスが先着、脇本選手は惜しくも2着に。
この結果、渡邉選手と脇本選手は1回戦敗退となりました。


決勝は、ペーサーを追い抜いたとして2度もレースが中断される珍しい事態が起こりましたが、最終的に誰も除外されることなく、6名での競走に。レースは残り1周で、先行するジリンスキーの2番手からヨアキム・アイラース(ドイツ)が踏み出して先頭に上がるも、最終バックで捲って出たケニーが押し切って優勝! 2位にはマティエス・ブフリ(オランダ)、3位にアジズルハスニ・アワン(マレーシア)が入っています。


終結
1位 Jason Kenny(イギリス)
2位 Matthijs Buchli(オランダ)
3位 Azizulhasni Awang(マレーシア)
1回戦敗退 渡邉一成(日本)、脇本雄太(日本)


★女子スプリント(1/4決勝〜決勝)
勝ち上がってきた8名の選手による1/4決勝を終え、準決勝となる1/2決勝は第1ヒートがレベッカ・ジェームス(イギリス)とエリス・リグトレー(オランダ)、第2ヒートがケイティ・マーシャント(イギリス)とクリスティーナ・フォーゲル(ドイツ)の対戦に。
第1ヒートはケイリンで金メダルを獲得し勢いに乗るリグトレーですが、今大会絶好調のジェームスには敵わず、ストレートでジェームスが勝利。第2ヒートは実績に勝るフォーゲルが新鋭マーシャントを退けました。


この結果、1-2位決定戦は復活を遂げたジェームスとケイリンの雪辱に燃えるフォーゲルの顔合わせに。力は拮抗した両者ですが、この数年世界のトップスプリンターとして数々の記録を残してきたフォーゲルがさすがの強さを見せ、ジェームスをストレートで下し、金メダルを手にしました。
3-4位決定戦はマーシャントがリグトレーに勝利。


終結
1位 Kristina Vogel(ドイツ)
2位 Rebecca James(イギリス)
3位 Katy Marchant(イギリス)


★女子オムニアム(後半3種目)
前日の前半3種目に続いての、後半3種目。日本からは塚越さくら選手が出場。
前半を折り返しての暫定首位はローラ・トロット(イギリス)、2位ジュリアン・ドール(ベルギー)、3位サラ・ハマー(アメリカ)。塚越選手は暫定18位。


4種目めの500mタイムトライアル1位は唯一の34秒台を出したアネッタ・エドモンドソンで34.938。2位トロット35.253、4位ドール、5位ハマーと続き、この種目を得意とする塚越選手が35.625で6位に食い込みます。
4種目が終了し、トップは変わらずトロット156p、2位ドール144p、3位ハマー140p。塚越選手は一つ順位を上げて56pの17位。


5種目めのフライングラップは、ここでも強さを見せたトロットが13.708で1位、短距離種目に強いエドモンドソンが13.878で2位、5位ハマー、7位ドール。塚越選手はこの種目も得意ながら、普段よりも少しタイムが悪く、14.638で15位にとどまった。
5種目終えてトップをひた走るトロットは196p、2位のドーラと3位のハマーは172pで同点。4位に浮上したエドモンドソンは148p。塚越選手はさらに一つ順位を上げて68pの16位でポイントレースを迎えます。


最終種目のポイントレースは上位3選手がきっちりマークし合いながら、得点を重ねていく展開に。特に僅差で競り合っているハマーとドールは熾烈な争いになります。トロットはある程度ポイント差に余裕がありながらも守りに入らず、自らも積極的に動き得点を上積みしていきます。上位勢の動きを縫うように、下位の選手も次々とアタックを仕掛け、何人かの選手がラップに成功しますが、ポイントレースがあまり得意ではない塚越選手は逃げに乗るタイミングが得られないまま、集団後方でのレースを強いられます。
終盤に入り、トロットはほぼ優勝を安全圏としますが、ハマーとドールの2位争いは一進一退の激しい攻防が続き、最後の最後で得点を伸ばしたハマーが競り勝ちました。


総合優勝はロンドンに続き2大会連続の金メダル獲得となったトロット、2位にハマー、3位にドール。塚越選手は最終的に16位という結果で初めてのオリンピックを終えました。


終結
1位 Laura TROTT(イギリス) 230p
2位 Sarah HAMMER(アメリカ) 206p
3位 Jolien D'HOORE(ベルギー) 199p
16位 塚越さくら(日本) 68p


♦トラック最終日のリザルトはこちらで確認できます。
https://www.rio2016.com/en/cycling-track-schedule-and-results/day-16