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 自転車トラック競技日本代表選手団がリオより帰国。代表5選手&坂本ヘッドコーチのインタビュー

8月19日(金)、自転車トラック競技日本代表選手団がオリンピックの日程を終え、リオから帰国しました。
長旅でお疲れのうえ、このあとの移動もある慌ただしいところをご協力いただき、代表5選手と短距離の坂本ヘッドコーチにお話を伺うことができました(中距離の飯島ヘッドコーチにはお話を聞けず、残念!)


短距離勢は、ベテランの中川誠一郎選手は本当に「やりきった」という思いを感じる、とても穏やかな表情でした。渡邉一成選手は悔しさをにじませながらも、一つの区切りがついたような、納得の面持ちに見えました。脇本雄太選手は初めてのオリンピックに相当緊張したようですが、その表情は明るく、気持ちはすでに4年後の東京に向かっているようです。


中距離勢の塚越さくら選手も初めてのオリンピックでしたが、とても冷静に自分の足りない部分や弱い部分を受け止めていて、やはりもう4年後への思いを口にしていました。
窪木一茂選手は、インタビュー自体はちょっと短めなのですが、実はあとで4位に入ったエリミネーションについて熱く語ってくれており、窪木選手が言うには、自分を含めて4人になったところで一瞬満足感のようなものを感じてしまい、それがなければもっと上の順位も狙えたのではと。まあ確かに観ているこちらもあのメンバーの中に残っている窪木選手の姿を見て「すごい、よくやった!!」と妙な満足感を感じてしまっていました(笑)。しかし、ここで満足していてはいけないわけです(観ているほうも)! 反省し、悔しがる窪木選手の姿に、次はもっと上にいってくれるだろうと頼もしく感じました。


そして、坂本ヘッドコーチには短距離陣についての総括をしていただいています。




中川誠一郎選手(日本競輪選手会・熊本支部
★リオオリンピック成績:男子スプリント25位(予選敗退)

「力は出せたので、もう満足です。(いつもよりギアを上げたのは)10秒フラットくらいだと(予選を)上がってもいい勝負はできなさそうだったので、9秒8くらいを目標にやってみたんですけど、タイムが出なかったという感じですね。最初に出場したロンドンでは悔いが残ったのもあったので、それだけないように、しっかり全力を出せればいいなと思っていたんですけど、それはできたかなと思っています。応援してくださっていた方々にはちょっと残念な結果になってしまったんですけど、自分なりには全力を出した結果なので、満足しています。応援ありがとうございました」




渡邉一成選手(日本競輪選手会・福島支部
★リオオリンピック成績:男子ケイリン1回戦敗退

「しっかり準備をしてきたつもりだったんですけれども、世界との差というのを痛感したレースになりました。過去2回(北京、ロンドン)に比べれば自分の実力、そして平常心で走れたレースになったんですけれど、本当に悔しい思いで帰ってくることになってしまったので…。なかなかチャンスというのは回ってこないし、自分で掴まなければいけなんですけど、やっぱり悔しい結果ですね。
自分が頑張ってこられたのは応援してくださった方々の後押しがあったからなので、そういった人たちに少しでもいい結果をと思い、胸を張って帰れるようないいレースがしたいと思って走りました。悔しい思いを噛み締めて、次は国内のレースで頑張っていきたいと思います。競輪は9月の共同通信社杯から復帰予定で、競技のほうは少し今後の予定を考えて続けるなり、引退するなり考えたいと思います」




脇本雄太選手(日本競輪選手会・福井支部
★リオオリンピック成績:男子ケイリン1回戦敗退
「初めて出たオリンピックだったんですけど、プレッシャーに負けた感じではありますね。(W杯や世界選手権とは)雰囲気が全然違いますし、周りの選手もすごく気合が入っているのが見えるので、そこに押しつぶされた感じです。1回戦は本当にプレッシャーで自分のレースができなかったんですけど、敗者復活戦では少し緊張も抜けて自分らしいレースができたんじゃないかなと思います。(オリンピックを終えて)僕の中では“ああ、これがオリンピックか”っていう、初めて味わった楽しみというか。終わってみればすごく楽しかったんですけど、走るまでにすごく緊張したので、またこれを味わってみたいなという気持ちではありますね。今回はかなり短いスパンで練習を積み重ねてやってきたんですけど、今度は4年後っていう長いスパンが見えているので、それをしっかり、ちょっとずつでいいのでステップアップして力をつけていきたいなと思っています」




窪木一茂選手(NIPPO VINI FANTINI)
★リオオリンピック成績:男子オムニアム14位

「タイム種目では思うようにタイムが出せなくて、レース種目ではエリミネーションにおいてすごくいいレースができたと思うんですけど、やっぱりオリンピックという舞台はとても緊張しました。自分は背丈がない分、他の選手と比べると全体的な大きさが違うなと感じました。その大きさというのはやはりパワーに関係してくるんですけど、そこの部分が自分とはまだまだ違うなと感じました。レースが終わって2日間くらいは頭が空っぽになって、ちょっと穴が空いたような感じでしたけど、徐々に次の目標に切り替えて。まずは休養してからしっかり次の目標を見据えて計画を立てて、行動していこうと思っています」




塚越さくら選手(Ciel Bleu 鹿屋)
★リオオリンピック成績:女子オムニアム16位

「結果は良くなかったですけど、全部の種目で自分の力はちゃんと出せたし、精一杯走ったので、今は悔いはないです。でもやっぱり大きな舞台で実力を100%発揮する難しさっていうのも実感しましたし、そういうところでしっかり自分の走りができるようになるためには、まだまだ全然自分の力不足だなっていうのを感じたので、その感じたことを今後ずっと忘れずに、あと4年間頑張って東京ではもっといい結果を残したいなと思いました。まだ自分はオリンピックで絶対いい走りをするぞとか、勝ちたいとか、そういう強い気持ちが他の選手よりも劣っていたかなと思いますし、スタート前にすごく緊張したり変な不安を感じたりとかもあったので、そういう気持ちの面でも弱いところがあったなと感じます。
ずっとオリンピックに向けてやってきたので、本当に終わっちゃったんだなっていう感じもあって。このためにずっと頑張ってきたのに“ああ、終わっちゃったのか”っていう、なんかちょっとぽっかりした感じもあるんですけど。でもこの経験を通じて、もっともっと世界で通用するような走りができるようになりたいとか、これからもっと頑張っていかなきゃという気持ちになることができました」




坂本勉短距離ヘッドコーチ
「事前合宿のカナダ、大会に入ってからの調整もすべて順調にいって、コンディション的には良かったと思います。中川選手に関しては(予選で)9秒台が出ていないので、いつも通りのギアを掛けるよりはここで勝負をかけて、9秒台を狙ってそのあとの対戦を少しでも有利にしようと、いつもより1枚ギアを掛けて臨んだんですけど、そのギアを踏み切れない状態でスピードが乗らずに終わってしまったという感じです。
ケイリンに関しては本当に自分たちも選手たちもそこに向けて頑張ってきたんですけど、渡邉選手は今持っている力を存分に出せたと思います。脇本選手に関しては、言い訳になるかもしれないですけど、1回戦・敗者復活戦ともかなり厳しいメンバーに当たってしまって、なおかつスタートの枠順が外枠という、不利の不利みたいな感じのなか、最後の敗者復活戦では追い込んでいったんですけど…。そういう苦しい状況になってしまったのは残念ですし、本人も悔しかったと思いますけど、でもそんな展開でも勝たなければいけないのは当然だと思いますので。
今回ロンドンに続いて、すべてにおいてイギリスチームがすごい力を発揮したんですけど、他の国も圧倒的にパワーが上がっていると感じました。自分たちもそれに追いつこうと2年間やってきたんですけど、世界はさらにその上をいっている。そしてパワーだけでなく、各国機材に関しても開発がどんどん進んでいっているのがよくわかったので、日本も東京に向けていろいろな協力体制を作って、機材等に関しても開発をやっていかなくてはいけないなと思いました。
今回、(マレーシアの)アワン選手がケイリンで3着に入ったように、日本人選手もメダルを獲る脚力、力は持っていると思うんです。あとはもっともっと(国内で)競い合うライバルが現れるといった、底上げをやっていく必要があるんじゃないかと思います」