CYCLIST FAN

トラックレース&競輪を中心とした自転車競技情報ブログ

 3月23日〜27日までオランダで2011トラック世界選手権が開催

ついに今シーズンの集大成、世界選手権が始まります!
2011トラック世界選手権は3月23日(水)〜27日(日)までの5日間に渡り、オランダ・アペルドールンで開催。
日本からの出場選手は3月7日付けで以下の通りにJCFより発表されています。


2011年トラック世界選手権自転車競技大会
開催場所 オランダ・アペルドールン
大会期間 2011年3月23日(水)〜27日(日)
監督 阿部道(JCF専任コーチ)
コーチ 吉井功治(JCF強化コーチ)、村田正洋(JCF強化コーチ)
出場選手
渡邉一成(JPCA・福島)
新田祐大(JPCA・福島)
浅井康太(JPCA・三重)
北津留翼(JPCA・福岡)
雨谷一樹(JPCA・栃木)
盛一大(愛知・愛三工業レーシングチーム)
加瀬加奈子(新潟・CLUB SPIRITS)
中川諒子(新潟・CLUB SPIRITS)
上野みなみ(青森・鹿屋体育大学


今回、トラック世界選手権初出場となったのは、男子では今シーズンチームスプリントの第1走者を勤めてきた雨谷一樹選手。高校時代はジュニア世界選手権をはじめ数々の大会で活躍し、当時のマニエ監督が才能を高く評価していた選手です。
女子の3選手は全員が初出場。短距離からは競輪学校女子1期生となった加瀬加奈子選手と中川諒子が参戦です。W杯、アジア選手権に続いての大抜擢は、競技経験はまだ浅く未知数ながらも、今後の可能性に大きな期待を懸けられてのこと。ただ、今シーズンの短距離種目の枠取りに貢献した前田佳代乃選手が選考からもれたことは、やはり残念でもあります。加瀬選手、中川選手には前田選手の分もぜひ頑張ってもらいたいですね!
中長距離からは上野みなみ選手。2月のアジア選手権ではオムニアムで銅メダルを獲得し、枠をゲットしました! オムニアムは厳しい種目ですが、アジア選手権の時のような「行きっぷりのいい走り」を世界のトップ選手相手にも見せてほしいと思います。


現在発表されているトラック世界選手権のプログラムは以下の通り。表記の時間は現地時間です。オランダと日本の時差は8時間で、日本のほうが進んでいます。※最終日の27日はサマータイムとなり時差は7時間
http://www.uci.ch/Modules/BUILTIN/getObject.asp?MenuId=MTI1OTE&ObjTypeCode=FILE&type=FILE&id=NjYzMjI&LangId=1


エントリーリストはまだ公式サイトにアップされていません。もう少しお待ちを!


さて、今回の東日本大震災の影響は日本チームにも及んでいます。
まず、阿部監督は地震津波などで甚大な被害を受けた仙台市にご自宅があります。地震の際、監督自身はちょうど修善寺の競輪学校にいらしていて難を逃れたそうですが、ご家族のことなど状況を鑑みて、今回の世界選手権の帯同は断念されました。また、あわせてトラックナショナルチームの監督を3月いっぱいで退任する意向も表明されたようです。昨年12月のW杯から正式に監督としてレースに帯同されていましたが、わずか4ヶ月でチームを離れることとなってしまいました。かつては世界選手権で代表チームの指揮を執った経験も持つ阿部監督ですが、その後競技の世界やレースの現場から離れていたブランクは長く、体力的な面なども含め、かなり苦悩されている様子はW杯やアジア選手権の取材でお話を伺っていても現れていました。そこに今回の震災での心労が重なったこともあり、退任という決断をされたようです。
阿部監督退任についてのスポーツ報知の記事はこちら。
http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20110318-OHT1T00271.htm?from=related


また、渡邉一成選手と新田祐大選手は地震の被害だけでなく、原発の問題で揺れている福島県出身です。
渡邉選手のご実家は福島第一原発から近く、避難指示が出ている双葉町だそうで、ご自身のブログで家が崩壊したこと、ご家族はご親戚の元に避難されたことなどが報告されています。地元のご友人など東京電力に勤めていらっしゃる方も多いそうで、現地で危険な中作業を続けるご友人たちへの思いも記されています。
県内在住の新田選手も震災を受けての思いをブログに綴っています。すでに世界選手権の会場に到着していますが、海外の選手やメディア関係者などから励ましや、温かい言葉をかけてもらったエピソードなどが書かれています。…本当にありがたいですね。
渡邉一成選手のブログはこちら。 http://kazunari.syncl.jp/?p=diarylist
新田祐大選手のブログはこちら。 http://nittayudai.blog17.fc2.com/


またオランダに向けて出発する際の選手たちのインタビュー映像が「シクロチャンネル」さんでご覧になれます。
https://www.cycloch.net/main.html#/movie/view/5504


渡邉選手や新田選手だけでなく、青森の上野選手、栃木の雨谷選手、千葉の盛選手も少なからず被害を受けた地域出身です。もちろん東日本地域の選手だけでなく、今は選手全員がそれぞれ不安や心配を抱えていると思います。
このような不安定な状況の中、家族や友人、大切な人たちを残して日本を離れることはとても気掛かりで、葛藤もあったことでしょう。それでも選手たちは自分たちの使命を全うするために飛び立ちました。「世界」という険しく、困難なものに挑むために。


CYCLIST FANでは現地から世界選手権の情報を入れる予定です!
原発の影響で飛行機のフライトが直前でキャンセルになるなど、ドタバタでしたが、本日現地レポーターがオランダに向け出発しました。あとは無事に到着することを祈るばかりです…。
選手たちの頑張りを伝えていきますので、お楽しみに!