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 2016-2017トラックW杯第1戦グラスゴー大会最終日の日本勢は女子スクラッチで上野が銀メダル獲得! 女子オムニアムは梶原が惜しくも表彰台を逃すも大健闘の4位! 男子チームスプリントはナショナル12位、ドリームシーカー13位、女子チームスプリント6位、男子個人追抜は近谷16位で全日程を終える


Photo:Takenori WAKO


11月4日(金)からイギリス・グラスゴーで開催された2016-2017トラックW杯第1戦は3日間の日程を終え、6日(日)に閉幕しましたが、最終日は日本チームにとって大いに盛り上がる一日となりました!


まずは女子オムニアムでの梶原悠未選手の大活躍! スクラッチ、テンポと2種目連続で1位を獲得し、最終種目ポイントレースに暫定首位で臨むという展開は、レギュレーションが変わってはいますが、これまでの日本人選手の戦いでは考えられないような快挙でした。しかし、最後のポイントレースでは逆転を許し、本当に惜しいところでメダルを逃しました。梶原選手自身、ポイントレースは思うような走りではなかったと思うのですが、今大会は比較的次世代を担うような若い選手の出場が多かったとはいえ、やはり世界を走る選手たちの底力を見せつけられた気がします。それでも、梶原選手の走りは大きな希望を見せてくれました。この結果を糧にして、きっとさらなる飛躍を遂げてくれることでしょう!


そして、女子スクラッチでは上野みなみ選手が銀メダルに輝きました! 上野選手は2015世界選手権ポイントレースで銀メダルを獲得していますが、W杯でのメダルは初めてとなります。
レース後の上野選手のコメントはレースレポートのところでお伝えしますが、とても率直に気持ちを語ってくれています。梶原選手の活躍を受け、「自分も結果を残さなければ」という強いプレッシャーと焦りの中で、「自分らしいレース」を見失わず、上野選手の持ち味であるアタックを果敢に仕掛け、ラップに成功したことがメダルへと繋がりました。それでも、銀メダルを取った喜びよりも「手に届くところにあった金メダル」を逃したことを悔しがる上野選手に、もっと上を目指す強い気持ちを感じました。
これまで日本女子中距離陣の中心選手として活躍してきた上野選手は、団体追抜とオムニアムでリオオリンピックを目指していましたが、団体追抜は出場権が取れず、そしてオムニアムは鹿屋体育大学時代からの盟友・塚越さくら選手が代表となりました。
仲間であり、ライバルでもある選手たちの活躍は祝福の気持ちとともに、一競技者として悔しい思いも味わったことと思います。そんな経験を経て、精神的にもタフになり、ひと回りもふた回りも大きくなった上野選手が、これからもビッグな活躍を見せてくれることを期待したいですね!


では、現地から届いた写真とともに大会最終日の結果を振り返ります。


★女子スクラッチ
日本からは上野みなみ選手が出場。
レースはスタートしてすぐに単独でアタックしたロシアがラップ、さらにその後飛び出したフランス、ベラルーシ、そしてアイルランドとともに逃げた上野選手も残り10周を前にラップに成功。残り周回が少なくなる中、パラパラと飛び出す選手はいるものの決定的なものにはならず、勝負は上野選手を含むラップを決めた5名に絞られます。残り1周となり、メダルの行方はゴール着順へ。上野選手は5名の中で2番目の着順でゴールし、2位。見事銀メダル獲得となりました!



ゲーム系を得意し、展開を読むレースセンスに秀でる上野 Photo:Takenori WAKO



すでに世界選手権でメダル獲得経験のある上野だが、W杯では初となる Photo:Takenori WAKO



表彰式 Photo:Takenori WAKO



銀メダルおめでとう! Photo:Takenori WAKO


◎上野みなみ選手コメント
「ゴール後、スクリーンに2位と映し出されているのを見たとき、正直に言うと単純には喜べないなという気持ちになりました。
(梶原選手の活躍は)素直にすごいなっていうのと同時に、オムニアムのスクラッチで1位になったことで、次にスクラッチを走る自分が結果を出せなかったら、周りに「梶原さんを走らせたほうがよかったんじゃないか」って思われてしまうんじゃないかという気持ちもあって、やっぱり焦りも感じたし、とにかく結果を出さなきゃとすごく思いました。ただ、変に焦って自分のレースができなくなるのは嫌なので、自分の中で「落ち着こう、落ち着こう」と言い聞かせてレースに臨みました。
トラックレースが)久々というのもあったんですけど、今回のレースは本当に自分の集中不足というか、周りがちゃんと見えていなかったから、手の届くところにあった金メダルを逃したと思うので、ツメの甘さっていうのをすごく感じたし、悔しいですね。
(世界選手権も期待されるが)世界選はもっとメンバーが濃くなってくると思うので、もっとトレーニングして上を目指さなきゃいけないなと感じています」


終結
1位 Elise DELZENNE(フランス)
2位 上野みなみ(日本)
3位 Evgeniya ROMANYUTA(ロシア)


★女子オムニアム
日本からは梶原悠未選手が出場。
オムニアムは今季から大幅にルールが変わり、4種目(スクラッチ、テンポ、エリミネーション、ポイントレース)を1日で行い、勝敗を決することになりました。
1種目めのスクラッチ、2種目めのテンポで連続1位を取った梶原選手は、3種目めのエリミネーションで3位。3種目を終え、暫定首位を守った梶原選手は、2位イギリスと6ポイント差、3位ベルギーと8ポイント差、4位ベラルーシとは24ポイント差で最終種目のポイントレースを迎えます。
追いかけるイギリスとベルギーがポイントを重ねる中、梶原選手はなかなか得点に絡めず、ついには逆転を許してしまいます。さらに得点差のあったベラルーシにラップを決められたことが響き、最後は僅差で表彰台を逃す悔しい結果になりましたが、4位という大健闘の成績を残しました。



1種目めのスクラッチを1位で終え、2種目めのテンポを走る梶原。テンポは毎周スプリント周回で、1着の選手にのみポイントが与えらえる新種目。梶原は3名で逃げて得点を重ね、この種目も1位となる Photo:Takenori WAKO



3種目めのエリミネーションは3位の梶原 Photo:Takenori WAKO



暫定トップのまま最終種目のポイントレースを迎える Photo:Takenori WAKO



序盤に香港の選手と逃げを試みるも、これは決まらず Photo:Takenori WAKO



梶原はなかなかポイントを奪うことができないままレースは進んで行く Photo:Takenori WAKO



終盤に入り、イギリス、ベルギーに逆転され、さらに20ポイント以上差のあったシャラコヴァ(ベラルーシ)にラップを許したことで、梶原の表彰台圏内が危うくなる Photo:Takenori WAKO



最後は4位でレースを終えた梶原 Photo:Takenori WAKO



表彰式 Photo:Takenori WAKO


終結
1位 KAY Emily(イギリス) 121p
2位 Lotte KOPECKY(ベルギー) 120p
3位 Tatsiana SHARAKOVA(ロシア) 119
4位 梶原悠未(日本) 117p


★男子チームスプリント
13チームが出走。
日本からはナショナルチームに雨谷一樹選手、河端朋之選手、堀航輝選手、ドリームシーカーは和田真久留選手、新田祐大選手、浅井康太選手が出場。
チームスプリントも一部ルールが変わり、予選上位8チームが1回戦に進み、1回戦は対戦相手に勝利したチームの中からタイム上位順に1-2位決定戦、3-4位決定戦に振り分けられます。
予選はナショナルチームが45秒761で12位、ドリームシーカーが46秒304で13位となり、両チームとも1回戦進出はならず。
1回戦の結果から、予選3位のイギリスと予選4位のフランスが1-2位決定戦へ、予選1位のドイツと予選2位のポーランドは3-4位決定戦へ回ることに。
優勝はフランスを下したイギリス、3位はポーランド



1走雨谷、2走河端、3走堀の日本チームは12位。堀は今回が初めてのW杯参戦 Photo:Takenori WAKO



1走和田、2走新田、そして久々にW杯の舞台に帰ってきた浅井が3走のドリームシーカーは13位 Photo:Takenori WAKO



2位のフランス Photo:Takenori WAKO



優勝のイギリス Photo:Takenori WAKO



表彰式 Photo:Takenori WAKO


終結
1位 イギリス 43.479
2位 フランス 44.414
3位 ロシア 43.962
12位 日本(雨谷一樹・河端朋之・堀航輝) 45.761
13位 ドリームシーカー(和田真久留・新田祐大・浅井康太) 46.304


★女子チームスプリント
10チームが出走。
日本からは前田佳代乃選手と石井貴子選手が出場。
予選は35秒282で6位となった日本は1回戦進出を決めます。1回戦の対戦相手は中国で、日本は35秒226で予選よりもタイムを上げますが、33秒台をマークした中国に敗れ、ここで敗退。
1回戦の結果から、予選2位のスペインと予選3位の中国が1-2位決定戦へ、予選1位のロシアと予選4位のオーストラリアが3-4位決定戦へ。
優勝は中国を下したスペイン、3位はロシア。



今回は1走前田、2走石井で臨んだ日本チーム。予選は6位で1回戦進出となった Photo:Takenori WAKO



1回戦は予選よりもタイムを上げるが、対戦相手の中国に敗れ、メダル決定戦には進めず Photo:Takenori WAKO



2位の中国 Photo:Takenori WAKO



優勝のスペイン。メンバーの一人、ヘレナ・カサス・ロイヘは以前日本のガールズケイリンにも参戦した選手 Photo:Takenori WAKO



表彰式 Photo:Takenori WAKO


終結
1位 スペイン 33.351
2位 中国 33.705
3位 ロシア 33.630
6位 日本(前田佳代乃石井貴子) 35.226


★男子個人追抜
日本からは近谷涼選手が出場。
予選の結果から、1-2位決定戦は予選1位Daniel STANISZEWSKI(ポーランド)と予選2位のシルヴァン・シャバネル(フランス)の対戦となり、ロードレースのトップ選手でもあるシャバネルが逆転で優勝。
3-4位決定戦は予選3位のDion BEUKEBOOM(オランダ)が、予選4位のLeif LAMPATER(イギリス)を下しています。
近谷選手は4分26秒台の日本記録を持っていますが、今回はタイムが伸びず、4分34秒814で16位となりました。



16位の近谷 Photo:Takenori WAKO



3位のDion BEUKEBOOM(オランダ) Photo:Takenori WAKO



2位のDaniel STANISZEWSKI(ポーランド) Photo:Takenori WAKO



優勝はロードのスター選手、シルヴァン・シャバネル(フランス) Photo:Takenori WAKO



表彰式 Photo:Takenori WAKO


終結
1位 Sylvain CHAVANEL(フランス) 4:20.56p
2位 Daniel STANISZEWSKI(ポーランド) 4:22.875
3位 Dion BEUKEBOOM(オランダ) 4:20.742
16位 近谷涼(日本) 4:34.814


★男子マディソン
15チームが出走。日本は出場権がないため、不参加。
5チームがラップする中、表彰台争いは僅差の勝負に。最後はゴールでポイントを取ったスペインが、オーストラリアを抑えて優勝。



3位のベルギー Photo:Takenori WAKO



2位のオーストラリア Photo:Takenori WAKO



優勝のスペイン Photo:Takenori WAKO



表彰式 Photo:Takenori WAKO


終結
1位 スペイン 1lap45p
2位 オーストラリア 1lap44p
3位 ベルギー 1lap41p


♦全種目のリザルトはこちらで確認できます。
http://www.tissottiming.com/Competition?id=00030D0002FFFFFFFFFFFFFFFFFFFFFF&sport=CT&year=2016