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 2016全日本選手権オムニアムフォトレポート Part 2

2016全日本選手権オムニアムフォトレポート、前回のPart 1に続き、Part 2では3種目めのエリミネーション、最終種目のポイントレースをお届けします!


◎ III. エリミネーション
★女子


3種目めのエリミネーションがスタート Photo:Takenori WAKO



総合暫定2位につけている上野みなみ(CIEL BLEU鹿屋)が4番目に脱落する予想外の展開に Photo:Takenori WAKO



暫定首位の梶原悠未(筑波大学)は危なげなくクリアしていく Photo:Takenori WAKO



梶原、橋本優弥(鹿屋体育大学)、岡本二菜(日本体育大学)の3名になり、まずは岡本が脱落 Photo:Takenori WAKO



バンクには梶原と橋本の2名が残った Photo:Takenori WAKO



先に仕掛けた梶原がそのまま橋本を引き離し、ゴール。これで梶原は3種目連続1位。総合首位のまま最後のポイントレースへ。 Photo:Takenori WAKO



エリミネーションはまさかの8位で、苦笑いの上野。総合順位も2位から5位に下がり、トップの梶原との差は22pに。 Photo:Takenori WAKO


3種目終え、暫定総合は3種目すべて1位の梶原悠未が120pで依然トップをひた走り、2位にはエリミネーションで順位を上げた橋本優弥が102pでジャンプアップ、3位鈴木奈央100p、4位古山稀絵98p、5位上野みなみ98p、6位岡本二菜88p…と続く。
2位から5位までの得点差は僅差ながら、トップの梶原を逆転するにはラップが絶対条件となりそうな展開だけに、梶原がかなり有利な状況で最終種目のポイントレースを迎えることに。


★男子


上位勢の得点差があまりなく、接戦で迎えた3種目めエリミネーション Photo:Takenori WAKO



総合暫定3位の安田京介(京都産業大学)が8番目、暫定1位の松本憲斗(鹿屋体育大学)が13番目、暫定2位の小林泰正(日本体育大学)が14番目と、上位勢が次々エリミネートされていく展開に Photo:Takenori WAKO



最終盤に入って総合暫定6位についている近谷涼(マトリックスパワータグ)が落車 Photo:Takenori WAKO



苦しそうに顔を歪めながらもレースに復帰する近谷 Photo:Takenori WAKO



最後まで残ったのは新村穣(CS Slinger)と曽我部厚誠(京都産業大学) Photo:Takenori WAKO



一騎打ちを制したのは新村 Photo:Takenori WAKO


3種目終え、暫定総合は小林泰正が100pで単独首位に立ち、2位松本憲斗98p、3位今村駿介96p、4位近谷涼92p、5位中村龍太郎88p、6位曽我部厚誠86p、7位には3位から大きく後退した安田京介で82p…と続く。
4点差の中にトップ3選手がひしめく接戦状態、4位以下も一発逆転が十分可能な点差という大混戦の中、最後のポイントレースへ。


◎ IV. ポイントレース
★女子 80laps(20km)


1回目のスプリント周回後に上野が単独で飛び出す。10周以上逃げ続けたもののラップは決まらず Photo:Takenori WAKO



暫定トップの梶原は落ち着いたレース運びでさらに得点を重ねていく Photo:Takenori WAKO



後半に入って上野が再びアタックを仕掛けると、すかさず梶原が追い、上野の逃げを許さない Photo:Takenori WAKO



序盤から積極的にポイントを取りに行った上野が暫定2位に上がるも、終盤の6回目と7回目のスプリント周回で1着を取った鈴木奈央(JPCU静岡)が上野を逆転し、2位に浮上 Photo:Takenori WAKO



得点が倍となる最後のスプリント周回へ向かうホーム。3位に落ちた上野が2位を狙って仕掛けると、得点差はすでに安全圏で優勝を手中にしている梶原が外から一気に上がる Photo:Takenori WAKO



上野を抑え、1着でゴールした梶原。上野はこれにより2位の鈴木を逆転できず、3位が確定 Photo:Takenori WAKO



会場の歓声に応える梶原。まさに完全勝利で2連覇を達成した Photo:Takenori WAKO



表彰式。左から2位鈴木、優勝梶原、3位上野 Photo:Takenori WAKO


終結
1位 梶原悠未(埼玉・筑波大学) 148p
2位 鈴木奈央(JPCA・JPCU静岡) 117p
3位 上野みなみ(鹿児島・CIEL BLEU鹿屋) 114p


優勝した梶原選手は「2年連続で優勝することができてすごく嬉しいです。日本代表としてW杯第1戦、第2戦とオムニアムを走らせていただいているので、国内の一番強い選手を決める大会ではしっかり勝ちにいきたいという気持ちでこの大会に臨みました」とコメント。
新たなルールになったことについては、「W杯第1戦でも表彰台には乗ることができなかったんですけど、1種目めと2種目めで1位を取ることができたので、やっぱりこの新ルールに変わって、自分の中では手応えというか、この種目で東京オリンピックでメダルを取りたいという思いがさらに強くなりました。W杯では初めてエリートの個人種目を走らせてもらって、本当にたくさん課題が残ったんですけど、でも今はまだ失敗してもいい時期だと思うので、オリンピックの2年前にはW杯や世界の大会で常に表彰台の常連と言われるような選手になれるように頑張りたい」。
そして、やはり新ルールでゲーム系種目に特化した内容になったことで、国内でのライバルとして上野選手を意識し、これからオムニアム代表の枠を巡って争うことになるだろうと話していました。
次の目標はあくまで「代表に選ばれたら」という前提ながら、来年2月のアジア選手権での優勝、W杯でのメダル獲得、そして4月の世界選手権で上位に入ることを挙げていました。


梶原選手を見ていると、昨年までは高校生だったことを完全に忘れてしまうくらい貫禄にあふれていて、本当にすごい選手が出てきたと、改めて感嘆せずにはいられません。
また、梶原選手の存在が上野選手の心に火をつけたように、相乗効果で日本女子中距離陣全体の活性化にも期待したいところです!


★男子 100laps(25km)


レースが始まってすぐに逃げを打った沢田柱太郎(日本大学) Photo:Takenori WAKO



序盤は上位勢がなかなか得点に絡めないでいる中、暫定5位の中村龍太郎(イナーメ信濃山形)が積極的に動き、ポイントを重ねていく Photo:Takenori WAKO



暫定4位につけていた近谷は前半から遅れ出し、最終的にラップされてDNFとなった Photo:Takenori WAKO



暫定1位の小林、2位の松本も得点を重ね、中村の激しい追い上げをしのぐ Photo:Takenori WAKO



中盤以降はすべてのスプリント周回に絡み、着実にポインを積み上げる小林 Photo:Takenori WAKO



接戦を制した小林が2年連続で優勝を飾った Photo:Takenori WAKO



表彰式。左から2位の松本、優勝小林、3位中村 Photo:Takenori WAKO


終結
1位 小林泰正(群馬・日本体育大学) 118p
2位 松本憲斗(熊本・鹿屋体育大学) 113p
3位 中村龍太郎(千葉・イナーメ信濃山形) 108p


優勝した小林選手は「去年優勝していたので、そのプレッシャーとかもあったんですけど、ナショナルのメンバーとしてのプライドもあったし、しっかり2連覇できたことは嬉しいです」と喜びを口にしました。
小林選手もこのルール変更に関しては、「自分はタイムトライアル系が苦手だったので、レース系のみになったことは自分にとってすごく有利かなと考えていて、しっかり4種目の戦略を考えて走りました」とのこと。具体的にはスプリント力を生かした展開を考えていたそうで、最後のポイントレースも「上位の5人が一回でもラップしたら一気に逆転するという展開だったので、なるべく逃がさず、なおかつ自分の得意なスプリントの展開に持っていけるように計算しながら走っていました」。
次の目標は「一番近いところでは来年のW杯、アジア選手権などのナショナルでの活動でオムニアムを走り、自分の今の力を知って、東京オリンピックに向けて力をつけていきたい」と話していました。
ちなみに、今回はこの種目の実力者、窪木一茂選手と橋本英也選手が参加していなかったことについての質問もあったのですが、「去年の大会で一緒に走って、2人の力は知っているので、今年も出てきたらとても脅威だとは思ったんですけど、それでも負けない自信はありました」と、きっぱり言い切ったところはしびれました!


小林選手は、例えば橋本選手のような「華やかでダイナミックな勝ち方」であったり、窪木選手のような「王道の強さ」というのとはまた違い、とても勝負強く、最後まで集中力を切らさず粘り強く走れるところが魅力だと、個人的には感じます。だからこそ接戦に強く、また気持ちの面でも負けない精神力の強さも持ち合わせているのだろうと思います。


女子も男子も、今後の国際大会でのオムニアムに誰が代表として出場するのか、かなり興味深くなってきましたね!