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 リオオリンピック自転車トラック競技日本代表候補選手5名が決定! 共同記者会見レポート


リオオリンピックトラック競技代表候補5選手の共同記者会見


4月6日(水)、東京都北区の「味の素ナショナルトレーニングセンター」において、自転車トラック競技のリオオリンピック日本代表候補選手5名による共同記者会見が開かれました。


日本は男子スプリント1枠、男子ケイリン2枠、男子オムニアム1枠、女子オムニアム1枠の計5枠を獲得。
かねてよりJCFが公表していた「2014年〜2016年のオリンピックポイント対象大会(ワールドカップアジア選手権大会、世界選手権大会)においてオリンピック種目に出場した者の中から、そのレース内容により選考する」という選手選考基準に照らし合わせ、選出された5選手が発表されました。


♦トラック競技日本代表候補選手
◎男子スプリント 中川誠一郎日本競輪選手会・熊本支部
◎男子ケイリン  渡邉一成(日本競輪選手会・福島支部)、脇本雄太日本競輪選手会・福井支部
◎男子オムニアム 窪木一茂(NIPPO VINI FANTINI)
◎女子オムニアム 塚越さくら(Ciel Bleu 鹿屋)


オリンピック出場は、渡邉選手は北京、ロンドンに続き3回目。中川選手はロンドンに続き2回目。脇本選手、窪木選手、塚越選手は今回が初めてとなります。


中川選手、渡邉選手、脇本選手は4月30日〜5月5日まで静岡で開催される日本選手権競輪(GI)を最後に、オリンピックまで競輪開催には出場しません。伊豆ベロドロームでの合宿を中心に、6月と7月にレースを走り、その後一旦カナダで調整を行ってからリオに入る予定とのこと。
塚越選手は4月16日〜17日の全日本トラック選手権出場後、伊豆ベロドロームに拠点を移し、合宿に入る予定。短距離陣と同様に6月と7月にレースを走り、カナダを経てリオへ。
窪木選手は現在イタリアに拠点を置き、レースに参戦中であるため、5月頃から伊豆ベロドロームでの合宿に参加する予定とのことです。



向かって左から中川誠一郎、渡邉一成、脇本雄太、窪木一茂、塚越さくら


会見に参加した代表候補選手5名と、坂本勉短距離ヘッドコーチ、飯島誠中距離ヘッドコーチの主だった質疑応答の内容は以下のようになっています。


中川誠一郎日本競輪選手会・熊本支部) 36歳

出場予定種目:男子スプリント
オリンピック出場歴:ロンドンに続き2回目


Q 代表に選ばれた心境とオリンピックへの抱負
「前回は初出場だったので嬉しさがとても強かったんですけれど、今回は枠取りにこんなに苦戦すると思っていなかったので、ホッとした気持ちのほうが大きいです。前回はプレッシャーなのか緊張なのかわからないですけど、全力を出せなかったという悔いがあるので、次こそは全力を出せるように頑張りたい。今の世界的なレベルからいうと、スプリントは実力的にもトップには届いていない現状なので、少しでもメダル獲得、入賞なりに近づけるようにリオまでの3ヶ月、しっかり調整していきたいと思います」


Q オリンピックまでに強化していきたい部分は?
「スプリントで一番大事なのは、予選の200mフライングタイムトライアルなので、そこでいかにタイムを縮められるか。しっかりタイムを縮められるように、スピードを強化していきたいと思っています」


Q オリンピックへの想い
「僕はロンドンに続いてオリンピックは2回目になるんですけど、僕がオリンピックに挑戦し始めたのはアテネからになるので、そこからだと4大会目になります。アテネ、北京は選考してもらえず、そこで悔しい思いをしたんですけど、前回のロンドンでやっと出られたという感じで。僕としてはそこで満足感はあったので、正直よくこの4年間保ったなという気持ちが大きいです」



★渡邉一成(日本競輪選手会・福島支部) 32歳

出場予定種目:男子ケイリン
オリンピック出場歴:北京、ロンドンに続き3回目


Q 代表に選ばれた心境とオリンピックへの抱負
「この2シーズン、ポイント争いという厳しい戦いをしてきた中で、僕自身、現状では世界選手権の個人種目に出場できないくらいの立ち位置だったんですけど、リオに出場できるということで、これまでやってきた全てをもう一度見直して、悔いの残らないレースをできるようしっかりと計画を立ててトレーニングしていきたいと思っています」


Q オリンピックまでに強化していきたい部分は?
「私たち競輪選手は普段、競輪というレースを走る職業なので、まとまったトレーニング期間を長く取ることは厳しい中でこれまで大会を戦ってきましたが、5月上旬の全日本選手権以降は競技に専念できる時間と環境が整うはず。リオのケイリンは8月16日にレースがあるので、そこを目指してしっかりと集中して計画的にトレーニングに励んでいきたいです」


Q オリンピックへの想い
「オリンピックはリオで3回目になるんですけど、子供の頃から憧れていたオリンピックで(初めて出場した)北京大会のときに悔しい思いをして、それが自分の意地となって、ロンドン、リオを目指すきっかけになったと思います。支えてくれる家族や、サポートしてくれる周りのたくさんの人たちの思いが、今の自分にとって一番の後押しになっています」



脇本雄太日本競輪選手会・福井支部) 27歳

出場予定種目:男子ケイリン
オリンピック出場歴:初


Q 代表に選ばれた心境とオリンピックへの抱負
「今回オリンピックは初めてということで、戸惑いはあるんですけれど、先日行われた世界選手権でも良い成績が取れたので(ケイリン5位)、次こそはメダル獲得を目指して頑張っていきたいです。自分自身、もっと改善できるところを改善して、(リオまでの)4ヶ月間をシミュレーションしながらしっかりトレーニングしていきたいと思っています」


Q オリンピックまでに強化していきたい部分は?
「僕はダッシュ力が足りていないと思っていて、世界と比較しても劣っている部分なので、そこを強化したい。この4ヶ月の長いスパンの中で、自分の長所をなるべく削らずに、短所をどんどん埋めていくようなトレーニングをしていきたいと思っています」


Q オリンピックへの想い
「もともと競輪選手になったのも、オリンピックに出たいという一心からでした。オリンピックを目指したのは、(亡くなった)母親のオリンピックに出ている姿を見たいという願いがあったので、僕もその気持ちに応えようと必死で頑張ってきました」



★窪木一茂(NIPPO VINI FANTINI) 26歳

出場予定種目:男子オムニアム
オリンピック出場歴:初


Q 代表に選ばれた心境とオリンピックへの抱負
「2年前から(リオに向けての)トレーニングやレースをしてきて、2日前にイタリアの遠征先で今回の発表の連絡を聞いたときは、本当に正直それまでの犠牲とか努力が報われたなというふうには思ったんですけど、2日経った今では嬉しさもありますが、期待に応えなければならないという気持ちでいっぱいです。これからしっかりとコーチ、関係者と計画を立てて、リオオリンピックでは入賞を目指して取り組んでいきたいと思っています」


Q オリンピックまでに強化していきたい部分は?
「自分は不得意なのはタイム系の種目なので、主に短距離のダッシュ系を強化してオリンピックまでに繋げたいと思っています」


Q オリンピックへの想い
「僕は福島出身で、高校から自転車を始めたんですけど、福島には日本代表になるような強い選手もたくさんおられて、その方々の日本代表ジャージを見て、純粋にすごくかっこいいと思い、そこから日本代表を目指すことになりました。前回のオリンピックでも出場に向けて頑張っていたんですけど、まだまだ力がなく出場できませんでした。そこで学んだ経験を糧に、もう一回目指したいと思い、この4年間頑張ってきました」



★塚越さくら(Ciel Bleu 鹿屋) 24歳

出場予定種目:女子オムニアム
オリンピック出場歴:初


Q 代表に選ばれた心境とオリンピックへの抱負
「オリンピックの代表に選ばれてとても嬉しく思っていますが、反面、自分がどこまでできるのかなっていう不安もすごく大きいです。リオオリンピックの目標は8位入賞で、その目標を達成するためにこれから4ヶ月間しっかりトレーニングして頑張っていきたいと思っています」


Q オリンピックまでに強化していきたい部分は?
「私は短距離種目の2種目(500mタイムトライアル、フライングラップ)は得意で、W杯や世界選手権で上位に入ることができたのですが、持久系種目の個人追抜きではいつも下位の成績になってしまっているので、持久系種目をしっかりと強化したいです。持久力がつけばレース系でも良い走りができると思うので、これから4ヶ月間は持久系に特化してトレーニングをしていきたいと思っています」


Q オリンピックへの想い
「中学、高校と陸上をやっていたんですけど、陸上ではあまり成績が出ず、小さい頃にやっていたトライアスロンの経験から、自転車という新しい世界でもう一度挑戦してみたいという気持ちになりました。そこから自転車でオリンピックを目指そうと思いました」



★坂本勉短距離ヘッドコーチ


Q 世界と比べた日本の現状と、リオに向けて
「短距離は今、世界と日本では圧倒的にパワーで差があります。パワー系のレース作り、選手の身体作りなど海外が圧倒的に進んでいて、日本もそれに追いつこうとしてやっている最中です。ギア倍数も、(世界は)大きいギアを踏むようになってきているんですけど、まだ日本は力的にはそこまでいっていないというのが現状だと思います。
リオに向けては、中川選手については200mタイムトライアルで日本記録を持っていますけど、それを塗り替えるくらいのタイムを出せるよう、トップスピードの強化を。ケイリンの2人については、自分の勝ちパターンをもう一回見直して、どうやってその勝ちパターンに持っていくかというレース作りを考えて、練習に励みたいと思っています」



★飯島誠中距離ヘッドコーチ


Q 男子オムニアムで窪木選手を選出した理由
「男子オムニアムを選考するにあたって、候補者は窪木選手、そして橋本(英也)選手の2名がおりました。その2名を選考対象レースで比較したところ、5種目(スクラッチ、個人追抜き、エリミネーション、1kmタイムトライアル、フライングラップ)の終了時点では大きな差がないと判断しました。窪木選手は直近の世界選手権で、かなりベストなメンバーの中、(最終種目のポイントレースで)2ラップをしたこと、また昨年度のW杯以外は平均してポイントレースで20点以上を獲得しているという安定感を高く評価し、今回彼を代表選手として選出いたしました。橋本選手はアジア選手権などで良い成績を収めましたが、今シーズンのW杯第1戦では(ポイントレースで)0点という、少し安定性に欠けるような成績でした」


Q 女子オムニアムで塚越選手を選出した理由
「オムニアムは6種目の競技で争われますが、特に彼女の場合は短距離系のタイム種目、フライングラップと500mタイムトライアルで、世界レベルで見てもかなり上位に入ることができます。彼女の強みはこの短距離タイム系2種目ですが、リオに向かってはその他の種目をしっかり強化することによって、もっともっと彼女の強みであるタイム系を生かすことができると思っています」


Q 世界と比べた日本の現状と、リオに向けて
「中距離のほうはオリンピック種目はチームパーシュートとオムニアムという2つの種目があります。(今回は出場権の取れなかった)チームパーシュートは、現在やはりオリンピックに出場するには4分というのが目安のタイムになると思います。現在の日本のベストタイムは4分3秒。時間にすれば3秒なんですが、その3秒というのがとてつもなく大きな差となっています。チームパーシュートで必要とされる能力というのは、1にも2にもスピード。まずはしっかりとスピードをつけていくということがこの先重要になってくると思います。
オムニアムは、ロンドンオリンピックから採用された種目ですが、タイム系3種目とゲーム系3種目の計6種目からなる総合を争う種目です。(世界とは)現状は特にタイム系での開きが大きいと思います。窪木選手はタイム系の短距離系、塚越選手はタイム系の長距離系というところをしっかりと強化することによって、目標の8位入賞というのが見えてくると思います。そして走力の強化と並行しながら、ビデオ等を使っての戦術の強化もしながらリオオリンピックに臨みたいと思っています」